2017/ Hisashi Ezura / zokei@ezura.tokyo

2017年09月22日 更新

第3回 /9月22日 〜線画のフィニッシュ・線画をとことん追求してみよう

 

線画について〜線画のクオリティと映像の完成度の関係性

現在、商業ベースで制作されるアニメーション作品のほとんどが、線画に彩色して絵を動かしています。線画はアニメーションの絵作りの出発点でもあり、作品のクオリティを上下する「かなめ」です。

線画を丁寧に描くか否かだけで、作品の見栄えは大きく変わってきます。

最近は、パーソナルコンピュータの普及により、アマチュアでもアニメーション制作が可能になりましたが、プロフェッショナルの現場と大きく異なるのは、線画に対する品質基準です。

例えば、線のニュアンスにどれだけ神経を注ぐかによって、同じ絵でも大きく変化します。

 

現在のアニメ制作現場では、ペイント時の作業効率を重視して、「二値化」という処理で線画が処理されますが、この講義では、よりニュアンスの繊細な階調トレスにて講義を進めます。

「二値化」については、講義にて解説しますが、線のニュアンスを喪失するのと引き換えに、生産性が向上できるので、一長一短といえます。

 

コンピュータで映像をフィニッシュする現在において、線画のクオリティはダイレクトに視聴者に訴えかけます。つまり、線画のニュアンスを丁寧に扱えば、副次的・間接的に、作品のヴォルテージに作用します。

 

線画の完成度の見極め

では、どのようにして線画の完成度を見極めれば良いのか、講義にて解説します。

まずは、絵の崩れをチェックします。

できれば、下書きの段階でチェックして修正したのちに、線画の清書に進むと良いでしょう。

Photoshopを使った、絵のバランスの修正方法を、講義にて実演しながら解説します。

*微妙な差ですが、目のバランスを修正しています。

 

その次に線の質感をチェックします。

線質は一定の基準があるわけではなく、あくまで作品ごとの作風に合わせます。

 

ここで注意したいのは、線が荒い時に、それが「作業の雑さ」によるものか、「線のニュアンス表現」によるものかを、混同しないことです。

あくまで、線は丁寧に扱い(それが荒々しいタッチであっても)、「計画した通りの線画」になるように心がけましょう。

 

線画のフィニッシュ

トレス線を最終フィニッシュします。

タブレットで線画を描いた場合、透明レイヤーにトレス線だけの状態になっていることもあります。その場合は、白地のレイヤーを下に作成し、統合して、白黒グレーの状態にします。

紙の場合も、タブレットの場合も、描き終わった線画は、Photoshopのメニュー「イメージ>モード>グレースケール」で画像をグレースケール化します。

 

白地の部分が「255の白」「100%の白」になっているか、レベル補正やスポイトの機能でチェックし、適宜調整します。また、トレス線の色も、「0の黒」「0%の黒」になっているか、チェックしましょう。ただし、せっかくのニュアンスを殺さないように、中間調は丁寧に調整します。

調整のコツは、講義にて実演しながら解説します。

 

もしトレス線を「ちょっと茶色っぽくして、線のニュアンスを柔らかくしたい」と考えていても、ここではブラックでトレス線をまとめます。

トレス線の色の調整はAfter Effectsでおこないますので、現段階の線画フィニッシュでは、白と黒と中間調のグレーの明暗のコントロールに集中しましょう。

 

最後に、紙をスキャンした時の「スキャンゴミ」、タブレットのミスタッチによるゴミなど、線画以外の不要な「ゴミ」を、Photoshopで綺麗に消しておきます。

下図は、スキャン時のゴミです。

 

以上、トレス線の明暗調整とゴミ取りで、線画のフィニッシュは完成です。

 

今回のまとめ

線画の線質は、時には絵の「狂言回し」のごとく、重要な役割を担うこともあります。

「線画の完成度に対する甘え」が絵に表れると、それだけで「素人っぽい」映像になってしまいます。

ともすれば、軽く扱いがちな線画のニュアンスですが、線画に対する品質水準を高くすることで、作品の完成度を1段も2段も高くできます。

 

次回予告

次回は、After Effectsの「ペンツール」によるペイント作業を実践します。

線画にペイントする際は、専用のソフトウェアのペイント機能を使うのが通常の流れですが、本講義ではAfter Effectsの「ペンツール」に慣れるために、あえてAfter Effectsにて「ペイント作業と同等」の作業をおこないます。

「ペンツール」に慣れれば、様々な場面で作業上の機転が効いて、自分の思う映像に仕上げることが可能です。

 


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